プロフィール
| 生まれ |
1975年 |
| 子供の頃の夢 |
寿し職人 |
| クラブ活動(中学校) |
サッカー部 |
| 働いている地域 |
愛媛県 |
出身地 |
愛媛県 |
| 仕事内容 |
尺八を作る |
| 自己紹介 |
料理全般を作ることが好き。 |
※このページに書いてある内容は取材日(2010年03月05日)時点のものです
仕事人記事

私は尺八という和楽器を作っています。尺八は1尺3寸から2尺3寸まで長さの種類があり、1尺8寸(約54.5cm)の物が多いです。全国で尺八を作っている人は約10名いて、私を含めてそのうち3名が愛媛県内です。私は、材料となる竹を自分で探し、根から掘ってきます。尺八は根の部分が大事です。材料となる「真竹」は西条産の物で2年くらい成長した物を使っています。夏は竹の中に虫が湧くので、12月から2月の冬の間しか掘れません。以前は全国で市民会館など会場を借り、展示会を開いて販売していましたが、今はお客さんから注文を受けて製造することが多くなっています。

集中して作業をするので8時から15時まで仕事をします。 尺八を作る時は、まず、円周が10cmくらいの真竹を1m前後の長さで根から掘ってきます。竹に付いている土やゴミを取って掃除をしたら、日陰で3年以上乾燥させます。長い時間がかかりますが、乾燥させることによりヒビや割れを防ぎます。竹をよく乾燥させたら、次に火であぶる「油抜き」と言う作業をします。この時、青い竹が茶色に変わります。そして、竹の節や作りたい尺八の寸法に合わせて竹を切り、指でふさぐ穴を開け、尺八の命である「唄口」(吹く所)を作ります。それから、竹の中に石膏と漆を混ぜた物をゆっくり流し込み、乾燥したら中を見ながらヤスリで削って、良い音が出るように調律をします。さらに、竹の中に赤漆を塗って削るという作業を3回繰り返すと、赤くピカピカの美しい見栄えになり、息の通りも良くなります。最後に溶接して金具をロウ付けすれば完成です。1ヶ月で10本くらい製造できます。

竹が全て同じ形をしていれば機械でも尺八を作ることができるかもしれませんが、実際には大きさなどが一本一本違うので、手作業で良い音が出るように作らなければなりません。調律のために竹を削る時は精密ヤスリを使いますが、ヤスリは100種類以上もあります。少し削った後、チューナーと言う音の種類を測る機械を使って、音を何度も合わせていきます。削る角度や中の直径が変わると音が狂ってくるので、尺八1本の調律に3日以上かかることもあります。また、竹は尺八を作る前はよく乾燥させないと割れますが、製品になった後は逆に乾燥させると割れやすくなるので、湿度を保てる木箱に入れて保管します。それから、漆の原液が手以外に付くと赤くかぶれてしまうので、気を付けて作業をしています。

自分が作った尺八一つひとつに、製作者として自分の名前を打つことにより、責任が出てきます。また、私が作った尺八がずっと残るということがやりがいの一つです。私が作った尺八をテレビで演奏しているのを見たり、お客さんが尺八を海外に持って行って演奏してくださったりすることも嬉しいですね。音が出しやすかった、良かったよというお客さんの声も大切にしています。

仕事が雑にならないように、「音」を大切に出すようにしています。良い尺八とは、竹の形や柄が良く、音の鳴り・響きが良いものです。そういった一品には装飾をして豪華にします。機械のチューナーでは同じ音でも、人の耳で聞くと違って聞こえることがあります。表現することは難しいですが、音にも硬い音と柔らかい音があります。響きが悪いこともあります。尺八の魅力は機械では出せない音色なので、その音色が引き出せるような尺八を作りたいと思います。近所の公民館で尺八の演奏をしたり、尺八の吹き方の教室をしてくれていたりする人もいますが、私は演奏するというより、一音一音を丁寧に出すことを心がけています。

叔父が尺八を製造していたのですが、跡取りがいなかったので私に「やってみないか」と言われたのがきっかけで、23歳の時に軽い気持ちで始めました。もしダメなら別の仕事に就けばいい!と思っていましたが、始めると尺八作りの楽しさに気づきました。尺八を吹けなかったので、地元の西条市にいる先生に3年習いました。5,6年くらい経って、独りで仕事ができるようになりました。昔は、材料は買わないとできないと思って竹を買っていましたが、竹材はとても高かったので、「自分で竹を取りに行こう」と思って山に行ってみると、西条市には良い竹がたくさんありびっくりしました。

小さい時は、家にあった竹でチャンバラをしてよく遊んでいました(笑)。将来尺八の製造をするとは思っていませんでしたが、小学生の頃から叔父の手伝いをしていました。また子どもの頃は、犬小屋を作ったり、プラモデルを買って自分で改造したりしていました。ものを作ることが好きでしたね。勉強は苦手でしたが、学校へ行くと友達と一緒に遊ぶことができるので学校へ行くことは好きでした。それから、握り寿司が好きで寿司職人になりたいと思っていました。今は、機会があれば調理師免許を取りたいなと考えています。

皆さんは学校でリコーダーを習ったと思います。尺八はリコーダーのように吹いてもすぐに音は出ませんが、早い人なら3日練習すれば音が出るようになります。ぜひ挑戦して尺八の音色を聞いてみてください。また、どんな仕事でも人から喜ばれ、必要とされるから成り立ちます。人から喜ばれることをして欲しいですね。心の優しい人になってください。
取材・原稿作成:西条市商工労政課 加藤
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