
| 生まれ |
1971年 |
| 子供の頃の夢 |
歴史研究家 |
| クラブ活動(中学校) |
バスケットボール部 |
| 働いている地域 |
愛媛県 |
出身地 |
大阪府 |
| 仕事内容 |
そばを打ち、そば屋を経営する |
| 自己紹介 |
西条の水の良さに魅(み)せられて、わざわざ大阪からやってきました。だから、私は大阪と西条の両方の良さを味わうことができます。 |

※このページに書いてある内容は取材日(2007年12月25日)時点のものです


そばを作り、お店を経営することが私の仕事です。おいしいそばの条件は、粉・水・技術の3点だと考えています。粉は自分の選んだものを注文し、大きい冷蔵庫できちんと品質管理を行います。水は西条のうちぬきの水にこだわりました。私は大阪生まれで、大阪も水の都と言われています。しかし、西条を訪れてうちぬきの水を飲んだ時に、「この水ならおいしいそばが作れる!」というインスピレーションがわいて、西条でそば屋をしようと思いました。山梨県に行って必死で技術の修行をしましたが、これからも切磋琢磨して精進していかなければならないと思っています。西条でしか作れないおいしいそばをつくり、それをみなさんに食べてもらい、そばの文化を伝えていくことが自分の仕事です。

曜日によって打つ量は異なりますが、だいたい朝の7時、8時くらいから10時半くらいまで、のし場(そばを打つ台)でそばを打ち続けます。まず、調合した粉と水をかき回してなじませると、やがて大きなかたまりになります。そのかたまりを十分に空気が抜けるまでこねます。この作業を菊もみといいます。そばをこねる作業は大変力がいる作業で、これを中途半端にすると切れやすいそばになってしまいます。次は麺棒を使って、生地を均一の厚さに平たく四角に延ばします。生地をたたんで麺包丁でマッチ棒くらいの大きさに均一に切り、麺が出来上がります。ここまでの工程で約30分かかり、15人前ができます。それを何回か繰り返し、10時半ころから開店の準備をはじめます。11時に開店し、それから2時、3時くらまでお客さんが集中するので、従業員さんにお客さんの注文を聞いてもらったり、運んでもらったりしてもらい、自分はひたすらオーダーを受けたそばをゆでます。お客さんがすいてきたら、つゆの準備をしたり、そばの実を機械の石臼でまわしたり、自分の手でひいたりします。6時に閉店して、片付けをしたり次の日の準備をしたりすると、帰宅は8時くらいになります。年末などの忙しい時期には真夜中になることもあります。そばは「その日の分はその日のうちに」というのが信条なので、どんなに忙しくても必ず朝打ちます。そばは酸化しやすく、劣化が早いので、朝打ったものでないとお客さんには出せません。だから「売り切れごめん」という日もあります。余ってしまったら、そば菓子にしてお客さんにお出ししたりしています。同じことの繰り返しだからひとつの技を極めるのは簡単というわけでなく、毎日同じだからこそ同じ味を作らないといけないという緊張感があります。

四国はうどんの文化が根付いたところなので、そばの文化を浸透させることはとても難しいことです。一般的に「そばは年に一回、年越しに食べたらいいじゃないか」という地域ですので、そば屋として何を提案できるか、どうやってふりむいてもらえるかというのが課題です。愛媛県でそば好きはたった5%なのです。うどん、ラーメン、パスタに続き、そばは4位なんですよ。5%をいかに6%にするか7%にするかが勝負です。
調理場の隙間(すきま)からお客様の満足した顔を見ることがやりがい

西条は、そば屋が少なくて見知らぬ土地でしたが、少しずつ人脈が広がり、地元の人に支えられながら、お客さんが増えてきました。ここへ来て、人と人とのつながりやあたたかさにとても魅力を感じています。調理場の隙間からその日のお客さんを見ているといろんなことがわかります。お客さんの顔ぶれや満足そうな表情をみると、自分がここでそばを作っている意義がちゃんと伝わっているような気がして、やりがいを感じることができます。また、そばを打つという作業は毎日同じことの繰り返しなのですが、ちょっとした気温や湿度の差によって、いろいろ調整しながら作らなければなりません。そんな中でも特に「これは最高の出来だ!」と思える時はすごく嬉しくなります。

職人ではあるけれど、サービス業なので謙虚な姿勢を大切にしています。そば打ち一本の無愛想な頑固おやじよりも、自分は人と人とのつながりを大切に出来る職人を目指しています。以前、偉大な方とお会いする機会があったのですが、自分と同じ立場に立っていろいろお話してくださいました。人と人とは対等であるという、そういう謙虚さが成功の秘訣だと思っています。また、職人としてそば打ちの伝統的な技術や文化をきちんと伝えながら、新しいものも取り入れていきたいと思っています。
自分の腕(うで)しだいというところに惹(ひ)かれました

自分の腕一本で、右か左かが決まるというところに惹かれました。自分がやった分だけ跳ね返る仕事、それが顕著にでてくるのが、自営であり、職人という技術屋だと思っています。そばを選んだ理由は、信州で食べたそばがものすごくおいしかったから。それからそばに興味を持つようになり、いろんな土地でそばを食べましたし、趣味で自分でも打つようになりました。そんな時、偶然西条市を訪れて、西条のおいしい水に出会い、ここでそば屋をしようと決め、山梨県へそば打ちの修行にでました。もちろん、1年間はお給料なしの生活です。技術は見て学べという感じだったので、必死に勉強しました。背水の陣といわんばかりに、周囲も厳しかったですが、「絶対にやりとげてみせる」という気持ちがあったので、あきらめずにやりました。ここのお店を始めて3年がたちますが、「おいしいそばなら西条にあるよ」と言ってもらえることを目標にがんばっていきたいです。

子どもの頃は生意気な子どもだったと思います。(笑)どちらかというとインドア派で、家で何かを作ったりすることが多かったです。小さい頃からわりと器用な方だったと思います。小・中学生の頃からギターを弾くようになり、家で練習ばかりしていました。ギターは今でも続いています。将来の夢といえば、中学時代の担任がとてもいい先生だったので、先生になりたいなぁと思ったこともあります。最近、そば打ち体験教室の講師をさせてもらうことがあるのですが、教えるというよりもむしろ一緒にやろう!という気持ちで臨んでいます。

世の中にはいろんな仕事があります。自分たちの身の回りにあるどんな些細なものでも、それを考えた人がいて、作る人がいて、売る人がいて、そこに存在しているのです。だから、物事を見るときは、いろんなことに疑問を持ってほしいと思います。例えば、「これはどうやってできたのだろうか?」「このデザインは誰が考えたのだろうか?」「この人は何を考えているのか?」と少し目線を変えて日々を過ごせば、もっと世界が広がっていくと思います。第三者の目線で物事を見ることができれば、人生がもっとおもしろくなると思います。
取材・原稿作成:株式会社西条産業情報支援センター 三浦