プロフィール
| 生まれ |
1954年 |
| 子供の頃の夢 |
なし |
| クラブ活動(中学校) |
なし |
| 働いている地域 |
広島県 |
出身地 |
山口県 |
| 仕事内容 |
工場で作った紙の品質を検査する |
| 自己紹介 |
納得しないと動かないが、一度始めたことは諦めない。趣味は日曜菜園、温泉巡り、ドライブ。 |
※このページに書いてある内容は取材日(2010年10月25日)時点のものです
仕事人記事

私は、紙を作る工場で働いています。私が勤めている工場は広島県大竹市にあり、東京ドーム約10個分の広さがあります。薄い紙や段ボールなどの板紙、それからカートカンの容器に使われている紙など、1年間で約33万トンもの紙を作っています。工場には紙の原材料になる古紙や木材を砕いた「チップ」が運ばれてきます。これらを溶かして「パルプ」と呼ばれる繊維を取り出し、それからパルプを網の上に薄く広げて乾燥させます。そして最後に、表面に滑らかさや美しさを出す塗料を塗って完成です。私たちの工場には約400人の従業員がいて、そのうち約300人が交代で24時間365日、工場の機械を動かしています。また、残りの約100人で、原料や機械部品の仕入れ、出来上がった製品の品質検査など様々な仕事をしています。私は品質検査を担当する技術グループのリーダーをしています。

毎朝8時頃に工場に到着して、前日の品質検査の結果を受け取ったり、作業着に着替えて安全体操を行ったりします。8時30分からは技術グループの会議を行い、8人のメンバーに今日の仕事内容を指示したり、工場全体で特に注意すべき安全関係の連絡をしたりします。その後、今度は各グループのリーダーが集まる工場全体の会議に参加します。それが終わると、機械の動いている現場に行き、それぞれの機械から製造された製品が、決められた基準を満たした紙になっているかどうかを確認します。午後になると、一度自分のグループの部屋へ戻り、本社に工場の状況を報告したり、会議の資料を作ったりします。その後もう一度現場を見て回り、日にもよりますが、夕方5時頃に仕事を終えます。

製品を検査する方法は大きく分けて2種類あり、厚さや重さなど検査された数値を読み取って行うもの、A4サイズに切られた見本を見て、表面の色や汚れなどを確認するものがあります。カートカン容器に使われる紙の場合は、飲み物の容器なので、臭いもチェックしているんですよ。工場で作られる製品は、1m×1mくらいの大きさの紙を100枚単位で包装した「平判品」と、5000mもの紙が芯に巻かれた「ロール紙」があります。私達の検査によってこれらの製品を出荷するかどうかが決まるので、責任重大です。また、工場の機械は、効率よく製品を作るために24時間動いているので、品質に異常が報告されると、夜や休日でも工場に駆けつけて、原因を突き止めなくてはいけません。

紙には様々な使い道があり、使い道に応じて新しい紙を開発する仕事もあります。例えば紙で作られている飲料容器「カートカン」の場合、紙を曲げてカンの形にしても破れない、自動販売機でも扱えるくらいに堅い、中に入れる飲み物が長持ちするように特製のフィルムを挟みこむ、など様々な要件を満たす紙を開発する必要がありました。私達は、原料となる素材を探し、機械の動かし方や使用する薬品・塗料を考え、試作品を作り、検査をして品質を確認する、ということを繰り返しました。開発には長いもので半年から1年ほどの時間がかかります。決められた基準が全て満たされて、いよいよ新しい製品の生産が始まる!という時に一番の達成感が得られますね。

私は、みんなで物事に取り組むということを大切にしています。なぜなら、技術グループだけではなく、各部署が協力して製品を生産しているからです。だから、例えば製品の検査方法をより良いものに改めたいと思った時にも、自分たちのことだけを考えるのではなく、機械を動かして製品を生産するグループの人や、原料や機械の部品を仕入れるグループの人にも事前に相談をして、工場全体として最も良い方法は何か、工場の各部署がうまく協力するためにはどうしたら良いかを常に考えるようにしています。

子どもの頃は、毎日暗くなるまで、原っぱや空き地で草野球をしていました。近くの低い山に登ることもあり、自然と体力が付きました。また、よく車やロボットのおもちゃを分解しては組み立て直していました。例えばロボットなら、腕や足の部分が動くことがありますよね。その部分を解体してギアやバネを取りだして「なぜそのような動き方をするんだろう」と構造について考えることが好きでした。

小さい頃から「構造を理解する」ということが好きだったためか、数学や理科など理系の勉強が得意で、技術系の学校に進学しました。勤めている工場のある地域は、大きな化学コンビナートが古くから立ち並び、地元ではこの地域に勤務する人も多かったので私にも馴染みがあり、自然とこの地域にある工場を勤務先に選びました。皆さんが製紙工場で働きたいという場合にも、工業系や理系の学校に進学して、技術を勉強することが近道かもしれません。

皆さんには、自分から取り組み始めたことを、途中で挫けずに続ける力を身に付けて欲しいと思います。私は長年工場に勤めていますが、時には単調に見える、同じような作業の繰り返しがあってこそ、問題が起きた時に良い解決方法を考えることができ、それが新しい技術につながっていくのだと感じます。本を読んだり人の話を聞いたりすると、すぐに分かったような気になることも多いと思いますが、忍耐強く努力を継続するという経験は、将来必ず皆さんの役に立つと思いますよ。
取材・原稿作成:あしたね取材チーム
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