プロフィール
| 生まれ |
1966年 |
| 子供の頃の夢 |
パイロット、大工 |
| クラブ活動(中学校) |
サッカー部 |
| 働いている地域 |
東京都 |
出身地 |
神奈川県 |
| 仕事内容 |
飛行機を操縦して、お客様や貨物を運ぶ |
| 自己紹介 |
体を動かすのが大好きで色々なスポーツをやってきた。現在3人の子どもと遊びながらスポーツの楽しさを教えている。 |
※このページに書いてある内容は取材日(2008年10月31日)時点のものです
仕事人記事

飛行機を操縦し、ある場所から別の場所へ、安全に、快適に、そして速くお客様や貨物を運ぶことが私の仕事です。飛行機にもいろいろな種類がありますが、私が普段操縦している飛行機は中型ジェット機のボーイング767です。この飛行機には、機長と副操縦士の2人のパイロットが乗り込みます。機長は主に飛行機の飛び方を決め、実際に飛行機を操縦し、副操縦士は主に、燃料を確認したり、空港の管制官と無線で連絡を取ったりします。現在私は機長として、日本国内やアジアの空港と空港の間で飛行機を操縦しています。空港から空港へ、日本国内だと1日に4回も飛行機を飛ばしているんですよ。
飛び立つ時は緊張の一瞬

パイロットの仕事は、空港の中にあるステーションコントロールルームから始まります。出発の1時間ほど前に、機長と副操縦士の2人でコンピューターを見ながら、その日の天気や利用する滑走路や航空路、搭載する燃料の量などを確認します。確認や打合せが終わったら、飛行機に乗りこんで離陸の準備を始めます。さまざまな準備を終え、空港の管制官とのやり取りが終わればいよいよ離陸。この時が仕事をしていて一番緊張する瞬間です。滑走路で飛行機を走らせ始めた後、例えば、エンジンが故障してしまったら限られた滑走路の中に飛行機を止めなくてはなりません。そのために、計器に異常はないか、速度が今どれだけなのか、多くの情報を瞬時に把握し判断して操縦しているのです。

飛行機が空の上で安定して飛行している時にも、パイロットは色々なことに気を配る必要があります。例えば、予定している進路に積乱雲が発達してきていることが分かれば、回り道するよう進路を変更する必要があります。他にも、前後の飛行機との間隔は十分か、燃料が減る早さは予定通りか、エンジンは故障していないか、お客様のいる客室が暑すぎたり寒すぎたりしないか、様々なことに気を配る必要があります。とはいえ離陸の時よりは他のことをする余裕があるので、トイレに行ったり、食事をしたりもしています。パイロットは操縦席が自分の席ですので、食事はひざの上にお皿を置いて食べるんですよ。そして、目的の飛行場が近づいてくると、着陸の準備を始めます。着陸は、コンピューターにデータを入力して自動操縦で着陸することもできるのですが、やはりパイロットの出番ですので、大抵は自分で操縦して着陸しています。

パイロットになるためには、様々な訓練を受け、多くの試験に合格することが必要です。私の場合は、全日本空輸株式会社(ANA)の自社養成パイロットの採用試験に合格して、ANAの社員としてパイロットになるための訓練を受けました。まず英会話の勉強を2ヶ月間。それから、無線の資格、飛行機に関する法律、飛行機に関する物理、空港の管制官との連絡方法などを6ヶ月間学び、毎週のように試験を受けました。それらに合格してアメリカに渡り9ヶ月かけてエンジンが1つの飛行機を操縦する訓練を受け、試験に合格しました。その後、日本に戻って複数のエンジンを持つ飛行機の操縦法や計器飛行(雲の中でも計器を見ながら飛行する)のための勉強をしてから、再びアメリカで実技訓練と試験を受けました。雲の中で飛行できる用になるための訓練ですので、外が見えないようにフードをかぶって、計器だけを見て操縦する訓練もあるんですよ。その後、日本に戻って1年間地上スタッフの仕事を行い、パイロット以外の仕事についても学びました。そして、ジェットエンジンの飛行機を操縦する訓練、シミュレーターを使っての訓練を受け試験に合格してから、実際の旅客機を操縦する訓練を受けました。国の試験に合格し、そして会社の認定試験に合格して、ついに一人前のパイロットになることができたのです。

本当に長い間がんばってきましたから、最後の試験に受かった時は本当に飛び上ってしまうくらいに嬉しかったですね。そして、副操縦士として10年ほど仕事をして、さらに試験に合格して現在は機長として飛行機を操縦しています。パイロットは、飛行機の外側を点検することがあるのですが、目の前にある飛行機はほんとうに大きい。ボーイング767の全長は約55メートル、ジャンボジェットなら約70メートル。「こんな大きな飛行機を自分の力で飛ばすことができるんだ」と嬉しく思いますね。そして、飛行機を操縦して無事に1日のフライトを終えると、達成感でいっぱいになります。

私が仕事をする上で大切にしていることは、お客様の安全と安心です。事故を起こさないように安全に飛行機を操縦するのは、パイロットとして当然のことです。その上で、さらにお客様に安心して飛行機に乗って頂くことも大切にしています。お客様の中には、「こんな大きな鉄の塊が空を飛ぶなんて」と、不安に思われる方もおられます。ですから、高度や進路を調節して飛行機が揺れそうな場所を避けたり、進路や高度を変更するときにもスムーズに飛行機を操縦するように気を付けたりしています。また、もし飛行機の到着が遅れることが分かったら、その時点でお客様に放送で伝えるといったことも大切にしていることのひとつです。

私は子どもの頃は乗り物が好きで、小学生の頃は特に自転車が好きでした。自転車で2時間以上かけて魚釣りや虫取りに出かけたこともあります。飛行機も好きで、小学校の卒業文集に「将来の夢はパイロット」と書いていました。でも、その時書いた将来の夢は、「なれたらいいな」というくらいの憧れだったので、大学に入る頃には忘れていました。ところが、大学生の時に友人から「パイロットの試験に受かった」という知らせを聞いて、実際にパイロットになるということが自分の手の届くところにあるんだ!ということに気が付きました。そして、自分もパイロットになろうと決意して、自社養成パイロットの採用試験を受けたのです。

好きなことは興味をもって一生懸命に学ぶことができます。私も車のエンジンがどうやって動くのかが知りたくて、図書館でその仕組みが分かるまで本を読んだりしたことがあります。でも好きなことだけを勉強すると、大人になった時にできることが限られてしまいます。私は算数や理科が好きで、国語や社会は苦手でしたが、好きな教科だけではなく苦手な教科も勉強しました。その結果、大学に入ることができ、パイロットという仕事に出会うことができたのだと思います。子どもの頃に自分の将来を具体的にイメージすることは難しいかもしれませんが、自分の将来を狭めてしまわないように、好きなことも嫌いなことも幅広く学ぶと良いですよ。
取材・原稿作成:あしたね取材チーム
パイロット のページに戻る