
| 生まれ |
1937年 |
| 子供の頃の夢 |
自営(自分で何かやりたい) |
| クラブ活動(中学校) |
なし戦後で部活がなかった |
| 働いている地域 |
静岡県 |
出身地 |
静岡県 |
| 仕事内容 |
家を建てる人々をまとめる |
| 自己紹介 |
映画館で映画鑑賞(かんしょう)。美術館に行く(上野に寄った時は必ず)。仏像研究の講習会。お寺回り。歌も好き。矢沢永吉ファン。 |

※このページに書いてある内容は取材日(2006年09月26日)時点のものです

工務店(こうむてん)は家を建てるための指揮者(しきしゃ)

私は、家を建てたいと思っているお客様の相談にのり、家が完成するまでに関わる人々をまとめる仕事をしています。私の場合、昔はチラシなどを近所に配って宣伝していましたが、今はホームページを使って私の会社を見つけてもらっています。「家を建てたい!」と考えているお客様にホームページから資料請求をしてもらうところから仕事が始まり、そしてお客様と相談しながら、家の中と外の設計図をつくり、どれくらいの金額でつくるかを考え、契約してから工事を始めることになります。私の会社は、設計図をつくることは出来ても、家を建てることはできないので、色々な会社に頼んで家を建てるためのチームをつくって、そこに関わる人々をまとめることが私の仕事です。オーケストラの指揮者のような仕事をイメージしてもらえると分かりやすいかもしれません。

家を建てる前に、完成までの工事の計画を立てるのも私の仕事です。私はひとつひとつの作業工程を写真に撮って残し、最終的にアルバムにして、お客様に渡すようにしています。仕事の手を抜いていないか、間違った作業をしていないかなど、証拠として残すという意味と、記録・思い出として残していくという2つの意味があります。家の基礎となる骨組みをつくること(基礎工事)が終わるまで、だいたい1ヶ月かかります。天気が悪かったりして作業が進まない時には工事が始まる前に立てていた計画を変更していきます。

家を建てるにあたっていくつもの検査を受けなければなりません。例えば、どこに鉄筋が配置されているか(配筋検査)、図面と出来たものが合っているか(完了検査)など色々あります。最近では、工事を安く済ませて儲けるために、決まり事を守らず地震に弱い家を建ててしまうなどの悪質な事件などもあったので、これらの検査が厳しくなってきています。しかし、ただ法律で取締まればよいわけではなく、家を建てることに関わる一人ひとりが、どれだけ信用されるような仕事をするかが重要です。お客様は、お金も喜びもくれる神様以上の存在です。そんなお客様を大切にするためにも、技術は当然のことながら、それぞれの「人に信用してもらえる仕事をしよう」という気持ちが問われるのです。

家を建てる時には、「地震に強く」「大きな空間があること」が重要になります。そこで私は、「重量鉄骨」と呼ばれる鉄筋を使って家を建てることをお客様には強くすすめています。なぜなら「重量鉄骨」で建てた家は、100年間も住むことができるほどに強く、値段もそれほど高くありません。狭い土地でも、地下と屋上のある3階建ての家を建てることができてしまいます。家を建てる、ということは、一生に一度の大きな買いものをすることだと言えます。その、「一生に一度」のことに関わることが出来る上に、人に喜んでもらえるので、こんなにいい仕事はありません。お客様に喜んでもらわなければ意味がない仕事ですから、お客様にとってよりよい提案をしていくことが私の重要な仕事の1つだと思っています。

初めのうちは、お金を稼げればどんな仕事でも良い、という気持ちでいました。たまたま知人に紹介されてこの世界に入ったのですが、続けていくうちにだんだんと建築に興味を持つようになりました。釘1本打てなくても、家を建てる人々をまとめることはできます。今は、それが私の自信になっています。人生、何がきっかけになるかは分かりません。ですから、みなさんも何か少しでも興味があれば、とにかくやってみることをおすすめします。

苦労することはたくさんありますが、特に計画した通りに工事が進むかどうかをいつも心配しています。進まなかった場合はすぐに計画を練り直さなければなりません。また、家を建てるお客様が一番真剣ですから、私よりも新しい商品などに詳しかったりすることもあります。だから、私も普段から真剣に勉強しなければなりません。私たちの仕事は、寸法など、絶対に間違ってはいけないことも多いのですが、失敗をして初めて覚えることも多く、それによって知識が増えるので、失敗はするべきだとも思っています。失敗することは、悪いことではないのです。

私は戦争を覚えている世代です。その頃は学校の先生も親もとても怖い存在でした。そして、怒られながらも自分で見て考え、実際にやらせてもらって覚えることが基本でした。怒られることは大切です。怒られることが少ないまま社会に出ると、実際に会社などで怒られた時に耐えられないのではないでしょうか。また、戦時中でもそろばん塾には通っていました。やはり基礎学力も大切です。「読み・書き・計算」がきちんとできれば、世の中にある色々な職業から自分のやりたいことを選択することができるようになると思います。みなさんも、たくさん勉強してください。
取材・原稿作成:倉田・中川(インターンスタッフ)