プロフィール
| 生まれ |
1958年 |
| 子供の頃の夢 |
トラックの運転手 |
| クラブ活動(中学校) |
卓球部 |
| 働いている地域 |
静岡県 |
出身地 |
静岡県 |
| 仕事内容 |
家を建てる |
| 自己紹介 |
職業柄(がら)、頑固(がんこ)。休日は犬と遊ぶ。 |
※このページに書いてある内容は取材日(2006年09月24日)時点のものです
仕事人記事

大工の仕事は家を建てる仕事です。でも、大工だけで家を建てるわけじゃないんですよ。大工の仕事は、家を建てる時の「木」の部分の工事なのです。家の土台となる基礎を作る事を仕事にしている人達の作業が終わると、大工の仕事が始まります。まず、家の大きな柱を組み立て、次に「梁」という柱と柱の間をつなぐ木を組み立てていきます。最後に、屋根の枠を組み立てていきます。昔は「差し金」と呼ばれるものさしで木材を測り、自分達で木材を切ったり刻んだりする仕事もしていましたが、今はプレカット工場と呼ばれる工場で機械を使って切っているので、自分達で切ったり刻んだりすることはあまりありません。仕事場には3人くらいの大工がいて、親方と呼ばれる大工が子方と呼ばれる他の大工をまとめます。1人でやることもありますし、忙しい時は大工仲間で助け合う事もあります。
家を建てる時には、今は家の周りに足場という作業場を作るのですが、昔は梯子しかなかったので、いつも不安定な丸太の上で仕事をしていました。屋根の上の高さはなんと8m!しかも、私の仕事場である浜松は風も強くて、最初は怖がってばかりで、親方によく怒られました。辛くても逃げられませんから、ひたすら仕事をして慣れるしかなかったですよ。

最初の4~5年は、ひたすら金槌で釘を打つ毎日でした。9センチの幅に2本の釘を打ちます。1軒建てるのに4~5日間ずーっと同じ作業の繰り返しなので、飽きない方が不思議です。大工の訓練校でカンナのかけ方とか使い方などは教わりましたが、釘の打ち方は習いませんでした。だから、最初は手を打ってしまい、血が死んで手は真っ黒!痛くないところがないくらいでした。それでも、休むことなく毎日が練習でした。学校の勉強は居眠りしたり、サボったり手を抜けたけど、仕事は親方がいるから休めません。最初はとっても厳しく感じました。

家を建てた後も外に見える鴨居や敷居(襖や障子をはめる、溝が入った木。上が鴨居、下が敷居。)など、化粧物と呼ばれるものを自分の仕事として任される様になって、仕事が楽しくなってきました。このような仕事は、約4~5年経ってから初めて任されるんですよ。自分が作ったものがどこに取り付けられるのか、綺麗にはめられるのかなどを考えられる様になると仕事が面白くなってきました。大工の仕事は、学校の様に誰かが教えてくれる訳ではありません。親方の真似をしても簡単に出来るものでもありません。それぞれ、自分の癖なども考え、自分のやり方を自分で見つけて覚えていくのです。そして、人よりも早く綺麗に作る事を目指します。同じものを作ると、仕上がりが綺麗な人と、雑な人の差が出てきます。早く綺麗に仕上げる事で、貰えるお金も増え、人からも褒められます。「綺麗にできているね」と褒められた時は本当に嬉しかったなぁ。

綺麗に仕上げるためには、木のことを良く分かっていないダメなんですよ。木は生きているので、板や柱は水気を吸ったり出したりして、曲がったり反ったりします。今は、木の節があるような柱より、色々な木を貼り合わせて作った集成材というものを使って柱を作ることが多いので、木が生きている感覚を知る機会が少なくなっていますが、生きた木の匂いなど、その良さを知ると家や森の木の見方が変わると思います。生きた木を使って家を建てることは難しいのですが、たくさん経験を積んで綺麗に仕上げる事ができるようなったときは嬉しいものです。

経験を積んでくると、だんだん余裕ができて周りが見えるようになるんですよ。今では、仕事場を常に綺麗にしておくことにも気を配っています。綺麗にしておけば、現場を見に来たお客さんや仕事をする仲間が怪我をする危険も少なくなりますし、お客さんにもきちんと仕事をしていることを分かってもらえます。お客さんが一生住む家を建てるわけですから、私のことを信頼してもらわないといけません。たくさんコミュニケーションをとることで、お互い信頼できるようになりますし、仕事に関係ない話もできるようになるとお互いの気持ちも分かる様にもなります。そうなると、仕事もやりやすくなるんですよ。

子どもの頃は、川遊びをしたり、人が2人くらい入れる簡単な家を木で作ったり、父と一緒にメジロという鳥を入れる竹かごを作ったり、山に入って遊んだりしていました。自分より年上の子とも一緒に、みんなで自由に遊んでいました。中学を出たら就職をしようと心に決めていたのですが、器用な私を見て担任の先生が薦めてくれたのが大工の仕事でした。本当は小さい頃からずっとダンプの運転手に憧れていたんですよ。でも、大工になったらだんだんと大工の仕事が楽しくなりました。

子どもの頃は、とにかくやってみたい事はやってみることが大切だと思います。頭で理解するよりも身体を使いながら覚えていくほうが、大人になってからも頭や体に残っています。身体で覚えた仕事は一生ものですよ。何年も経っても、忘れない。それが大切。サッカーでも、野球でも、身体に染付いていることは忘れないですからね。大工になりたいと思ったら、とにかく釘を打つなり何か作るなりしてみたらいいと思います。遊びでいいから、思いついたものを作る事が大切です。怪我や痛みも怖がらないで欲しい。痛みを知ることで、殴ったら痛いとか、人を傷つけてはいけないという大切な事を身体で覚えることができますよ。

世の中に出ると、基本的な「読み、書き、そろばん」がやっぱり大事です。でもそれ以上に大切な事があります。それは挨拶です。まず、大きな声で何でもいいから、挨拶をしてみましょう。近所のおじさんやおばさんにも、友達にも、先生にも。道ですれ違った時に元気よく挨拶をされたら、相手は気持ちいいものです。知らない子から大きな声で挨拶されたら、びっくりもするけど気持ちがいいものですよ。
取材・原稿作成:倉田(インターンスタッフ)
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